今回は前回登場した橘昌史君がスイスの新聞に取り上げられましたので紹介します。
彼(橘昌史君)は日本で5年間野菜について学んできた。3年間農業高校に通い、その後農業大学校へ進学。そして今、橘昌史はスイスでヨーロッパ野菜の生産技術を学んでいる。次の春までここケルツェルスの農家、クリストフ=ヨナー氏の下研修をするのだ。
≪ボクはベルンの市場が好きです。だって人と知り合ってドイツ語も学べるでしょ≫
「最初は学校を卒業したら両親と一緒に農業をしようと思っていました。」橘昌史君は語る。彼の両親は南日本にある熊本県で野菜農家をしている。国内消費向けにトマトと米を生産している。マサ(彼はケルツェルスの街ではそう呼ばれる)は卒業後日本のイチゴ農家で研修した。「結局僕は世界の野菜農家を知りたいと思って(JAECの)研修事業に興味を持ち、デンマーク、オランダ、アメリカ、或いはドイツかそれともスイスに行くか考えたけど、僕にはスイスが一番合ってるかなって思って。」それにスイスの方が日本より少し農地が広いらしいと聞いた。父はすぐさまこの20歳の若者の決断を理解しスイスでの更なる勉強を許してくれた。
「例えばジャガイモ、レタス、ニンジンなんかは日本にもあります。ヨーロッパらしい野菜といえばコールラビやコプフザラート(レタスの一種)やバタヴィアサラダ(レタスの一種)やルバーブなんか。キュウリなんかはもちろん知っているけど、ここのよりずっとずっと小さいです。」彼は比べながら言う。その上トラクターも実家のものに比べ大きいのでますます彼は機械を動かしたくてしょうがないようだ。
ケルツェルスで彼が最も愛する仕事はトマトとヌスリーザラート(サラダ菜の一種)の世話だ。しかし、毎週火曜日と土曜日に首都ベルンで開く市場もとても気に入っている。「だって人と知り合ってドイツ語も学べるでしょ。」フランス語しか話せない客が来た時に限り農場主に代わってもらう。殆ど毎火曜ベルンの夕市に車を走らせている。
「僕は何度もベルンのバラ園に行きました。とても気に入っています。」週末、橘昌史君は11人のスイス研修仲間と共に各地名所を見て回っている。そう、前の週も休暇をもらってツェルマットやミューレン、その他『見なきゃいけない場所』を訪れたばかり。
≪日本食を作っています。でもスイス料理も学びたいなあ≫
彼はケルツェルスで、もっとたくさんのスイス人と知り合いおしゃべりを通じてドイツ語を上手くしたいと思っている。出来るならば彼の大好きな野球をスイスでプレイしてみたい。「考えてはいるんだけどなかなか暇が無いんですよね。」そんな訳でまだ実行に移していない。野球の他にはギターも弾く。以前蚤の市でギターを見つけて買ったとき、彼の母親が日本の楽譜を送ってくれた。
彼は受入家族からも同僚からも気に入られている。「スロバキアから来ているヴィリアム=デュツンダー君は良い友達になりました。」と彼は言う。ヴィリアム君は6月末まで同じくこの農場で研修をする。両人は同じ部屋を共有しており、夕食は(朝昼は受入家族と一緒に食事をする)昌史君が料理をする。「日本食を作っています。でもスイス料理も学びたいなあ」と彼は言う。冬には研修生の定期会合で料理教室に参加する事になっている。
10年15年の内に彼は両親の後を継ぎヨーロッパ種の野菜を育てたいという。
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