国際農業者交流協会TOPページへ

TOP > 海外からの便り > 研修生便りバックナンバー > バックナンバー

トマトのように実の詰まった研修です

吉田真貴子(ハワイ研修生:福岡県出身)
 
  ぶぁ、蒸し暑い!!

 ハワイのコナ空港について初めて感じたのはこの暑さでした。これからどんな研修がまっているのか不安と期待で心臓をどきどきさせながらファームに向かった3月の終わり。それからあっという間に研修の半分が過ぎました。

 私の研修している農場はコナ空港から車で40分、標高300mくらいの山の中にあります。山といっても海が目の前に広がっており、夕日の眺めは絶好で、いつも水平線に沈んでいく太陽を拝んでいます。また、家の周りには好物のバナナやパパイヤが植えてあって年中食べることができます。最近は毎日バナナばかり食べています。気温は日中42℃、朝晩は涼しく、22〜24℃まで下がります。ハワイといえば晴れた太陽をイメージしていましたが、この辺りは標高が高くほぼ毎日雨が降るので涼しくてとても過ごしやすいところです。

 ここのファームでは、5エーカーの土地に雨除けのハウス28棟でトマトとキュウリを栽培しています。トマトは甘くて味のある桃太郎、キュウリも日本の品種で、出荷先は日本食レストランやスーパーマーケットなどです。ハワイ島は日系人や日本人が沢山住んでいて、ほとんどのスーパーは日本の食材を取り扱っています。なのでうちのファームのトマトとキュウリはお客さんから大好評です。

 仕事については、私のほかにもう一人の日本人研修生と一緒に配属になり、ワーカーは他におらず畑の管理はほとんど2人でしています。月、水、金の午前が収穫で、ボスの奥さんとボスのお姉さんが手伝ってくれています。私は農業経験が乏しく、きちんとファームの力になれるか、それが一番心配でした。始めの一ヶ月間は何も考えずに、とにかくボスの言うことをこなすことで必死でした。トマトのわきめをする時にシュートを折ってしまったり、たくさん失敗をしました。それでもボスは黙ってみてくれていて、ますます申し訳なく感じ、とにかく仕事をこなすことで一生懸命でした。次の一ヶ月は大分作業にもなれてきて、ボスとも色んな話ができるようになりました。

 時にきつくて休憩したくなるとき、ふと相棒を見ると彼女が必死になって作業をしていて、それをみて「私もがんばらなくては」と力をもらうこともよくあります。とても良きライバルです。今は朝6時半から夜7時過ぎまで畑に出ています。疲れてくたくたですが、沈む夕日を惜しみながら、心から「お疲れ様」と言う時、その言葉が体に染みてとても気持ちがいいです。

 この研修で学ぶことは本当にたくさんあります。農業の知識ももちろんですが、その他に精神面で沢山学ぶことがありました。自分とはどういう人間か見詰め直すことができ、自分の中の甘さ、弱さに気づきました。また周りの方々の親切さをとても感じました。一生懸命がんばることは自分にとって自己満足だと感じています。

 「よく頑張ってくれた」もし研修の終わりにボスにその言葉をもらえるとしたら、私は一生懸命頑張ったことに対する「よく頑張った」より、どれだけボスの片腕になれたかに対する、ボスからの信頼を得た「よく頑張った」だったらいいなと思っています。これは私にとってそう簡単なことではありません。残りの研修期間、自分の目標を忘れずに、焦らず、Take it easyで楽しい研修にしたいです。

農場主を囲んで・・・ 


 
 
※この原稿は『北米報知新聞9月11日号』に掲載されたものです。