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-フィリピン技術協力事業 現地リポート-
(土壌・資源保全に配慮した安全野菜生産・流通プロジェクト)

No.4:ブギアス町の若者生産者グループ

生産者グループ調整員のブレンソン氏

皆さん、こんにちは。
今回はベンゲット州ブギアス町で野菜栽培に取り組む若者たちの活動についてレポートします。

このブギアス町は州都ラ・トリニダッドから北へ約60km、車で2時間半くらいのところにあります。ベンゲット州の中では1戸あたりの耕地面積が広く、有名な野菜の生産地です。ここでは日本で農業研修を終えた若者たちが生産者グループを結成し、野菜作りに励んでいます。

このグループのコーディネーターであるブレンソン氏は昨年からJAECのプロジェクトに参加し、去年1年間はプロジェクトの試験圃場スタッフとして活躍していました。現在は地元のブギアス町に戻り、彼の農場を経営しながら生産者グループとJAECプロジェクトとをつなぐ調整員として活躍しています。

彼らの特徴は「No Compost, No Join(堆肥施用が参加条件)」とコンセプトにあるように土作りに重きを置き、高品質で安全な農産物を安定的に市場へ供給することを目的にしています。

ブギアス町に限らず、ベンゲット州では化学農薬と化成肥料に頼り過ぎたことで圃場の多くが疲弊し、深刻な土壌病害が蔓延しています。特に根こぶ病の被害は深刻で、圃場全体の2割しか収穫できないという農家もいるそうです。

そんな状況の中、一早く木酢・堆肥の施用を始めたブレンソン氏の圃場では徐除にそれらの効果が現れ始めました。収穫量の増加に加え、根こぶ病の被害軽減が報告されるようになりました。もちろんまだ完全に土壌病害を解決するまでには至っていませんが、このブギアス町でも継続的に木酢や堆肥を施用することで土壌病害を軽減させ、安定供給につなげられることが立証されました。

ベンゲット州のキャベツ畑。
疲弊した土地で根こぶ病も蔓延している。
ブレンソン氏の圃場で採れたブロッコリー。
根こぶ病の被害を受けながらも十分生育した。

ブギアス町長も彼らの活動に対して強い関心と理解を示していて、忙しい時間を割いて彼らのミーティングに参加してくれました。町長に就任するまで医師として活躍していた町長は、ブギアスの食と医療についてこのように述べていました。

町長(左から3番目)と農政課長(左から2番目)を交えての
スタッフミーティング。

「ブギアス町には生活習慣病患者が多い。その原因は肉中心の食生活なのだが、実際は過剰に農薬を施用された野菜に対する不安によるところが大きい。安全な農産物を供給するという意味でも彼らの活動は大きな意義がある。」

今年の7月からは生産者グループで野菜直売を開始しました。週2回町役場の前の広場で彼らの野菜を販売しており、町長も常連客として直売所に訪れるようです。

彼らの活動はまだ始まったばかりで、安定供給という点ではまだ多くの課題が残されています。私達プロジェクトも技術指導という形で彼らをバックアップしていきます。


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