-フィリピン技術協力事業 現地リポート- No.1:イチゴの安全栽培技術に取り組む@ みなさんこんにちは
今日はイチゴの話題です。イチゴはベンゲット州ラ・トリニダッド町の特産物です。フィリピンの他の地域と違って冷涼な気候は、高原野菜ばかりでなくイチゴ栽培にも適しています。同町の平地(盆地)では約100ヘクタールにわたってイチゴが栽培されています。この地域を別名「ストローベリー・ファーム」と呼ぶ所以です。最近は傾斜地にも比較的平たんな場所を選んでイチゴが植えられています。これを加えると150ヘクタールにもなると思われます。
収穫期は12月から翌年の6月頃まで。この時期は乾季で雨がほとんど降らないため、露地で栽培されています。日本のイチゴより小粒で硬めですが、私たち日本人も甘くておいしいと感じます。収穫最盛期には一キロ100円から150円相当の値段で買えます。生食にも加工(ジャム、イチゴワインなど)にも使われます。この時期になると、マニラやその周辺地域から大勢の観光客がおしかけてきます。100軒以上の店や屋台が立ち並び、幹線道路(ストローベリーロード)は人と車でいっぱいになります。
ラ・トリニダッドのイチゴは10年前に超特大のイチゴケーキを作り、ギネスブックに登録されました。使った材料はイチゴなど5トン、おかげでこの時にはラ・トリニダッドのイチゴが店から姿を消したそうです。このケーキを切り分けて5000人以上にふるまったといわれています。今でもこれを記念して作った大型イチゴの模型(高さ2メートル、長さ4メートル)が、ラ・トリニダッド町役場前に展示されています。(最近、ベンゲット大学加工販売センター前の広場に移設されました。)
もうひとつの問題は、7月から11月の雨期に栽培ができないということです。理由は露地に植えているイチゴは雨による「泥はね」と高い湿度で病気の被害がひどく、収穫が上がらないからです。もう一つの理由がこの時期には開花結実しない品種だからです。少しでも収穫期間を延長しようと雨除けトンネルをかける農家もありますが、6月を過ぎると花も咲かず実もならなくなってしまいます。日本でも暑い時期には高冷地以外には栽培されていませんが、ベンゲットではこの時期の気温が日中でも22−3度、イチゴ栽培は可能です。 |