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-フィリピン技術協力事業 現地リポート-

No.21:パラワンでの木酢・炭セミナー
〜フィリピン駐在の中島淳太郎職員からの報告〜

 
 こんにちは、中島です。
 ここベンゲットは太陽が少し遠のいたようで肌寒くなってきました。

 平成20年10月14日から17日間、木酢の技術を普及するためにベンゲットを離れてパラワンというところに行ってきました。ルソン島の南にある大きい島です。

 パラワンへ行くことになったいきさつは、今年の6月にさかのぼります。6月にベンゲットで木酢や炭の畜産への利用に関するセミナーを開いたところ、そのセミナーに参加された農業省スタッフが木酢と炭に強い興味を持ち、「自分の地域でもこれを広めたい」と希望されました。そこで農業省第4B地域事務所の主催で木酢・炭に関するセミナーがパラワンで開催されることになり、私と横森さんも炭・木酢を使った土壌改良技術を全国各地に普及するために、講師としてそのセミナーへ参加することになりました。

 一日目は横森さんが農業技術について講義しました(写真1)。

 横森さんの炭・木酢の出会いから始まって、長年の経験を通して得た技術を横森農場のビデオなども映写しながら説明しました。参加者の多くは試験場のスタッフでしたが、農家の方々も参加しており、みな興味深く受講していました。

 セミナー終了後、近くの農場から「ウベ(ムラサキイモの一種)がカビにやられて全滅に近いので診断してほしい」という依頼があり、現場へ出向きました(写真2)。

写真1

写真2


 そこは1ha近い面積があり、加工会社との契約で新規にウベを栽培したそうです。新しい畑での栽培でしたが、農家は土壌検査や試験栽培をせずに栽培したということでした。 それに対して横森さんは、

 @最初に大規模に栽培するのはリスクが高い。
 A気候変動でうまくいかない。
 B土壌に何かが足りなくて健康な作物が育たない。
 C問題点が多々あるが、とにかく土壌が一番の基本である。

といったことを説明しました。


 二日目、私たちは木酢抽出デモプラントの設置を行ないました。木酢施設(ラ・トリニダッドと同じモデル)の資材はすべて農業省第4B事務所が準備してくれました。

 デモプラント作成は順調に進みました。抽出器に小さい穴が開いており冷却用の水が中に浸入する問題もありましたが、難なく解決し、無事設置が完了しました。


写真3


 右の写真3が、パラワンでのデモプラントの最初の1滴です。木酢は農業利用だけでなく、水虫ややけどに効果があるということで、セミナー参加者は各自ペットボトルに入れて持ち帰りました。

 また、その地域の町長を表敬訪問したところ、町長から横森さんに、「ぜひ横森さんの技術を広めてほしい」との要請がありました(写真4)。

 このようなセミナーを各地で開催してきたことにより、炭・木酢はいまやベンゲットでは勿論、他の地域でも徐々に知られるようになってきました。 地元ベンゲットでも、ベンゲット州知事が州の試験場に木酢施設を作りたいとの希望で、早速その建設を進める予定です。
 今後も木酢・炭セミナーを積極的に開催して、畑の土壌改良技術のさらなる普及を図りたいと思います。

写真4



(中島)



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