TOP > フィリピン技術協力事業 > 現地レポート > 38

-フィリピン技術協力事業 現地リポート-

No.38:前川氏が
ブラジルの炭・木酢利用について講演

ベンゲット大学でのセミナー

 今年も残りわずかとなった12月上旬、農業省コーディレリア地方事務所、国立ベンゲット大学、ベンゲット州、ラ・トリニダッド町と本会プロジェクトとの共催で、炭・木酢に関するセミナーを3回にわたり開催し、合計300人以上がこれに参加しました。

 今回の講師は前川和彦さんにお願いしました。前川さんは10年前に富士フィルムを退職したのち、ブラジルで横森さんを介して炭・木酢技術に出会い、その技術を使って10,000haの大豆畑で有機栽培を実践した経歴を持っています。

 講演では、自らの経験をもとに、写真を使って堆肥に炭・木酢を組み合わせて使うことによって畑の地力を豊かにできることを説明しました。また、木酢に各種の有機資材(ニームの実や茎葉、ニームオイル、トウガラシ、プロポリス:ミツバチの巣の入り口に形成される物質、乾燥した海藻、魚など)を浸漬して成分を抽出し、これを葉面散布すると、殺虫や殺菌効果、それに植物栄養補給効果のあることも実例を挙げて説明しました。これらの資材の多くはフィリピンでも入手でき、葉面散布として使うことが可能です。

州農業試験場の炭木酢施設を視察する前川氏

 さらに、安全な野菜を生産するにあたって、あらかじめ販売先を考えて何を作るか、どこに・だれに売るかを決めておくことが大切であると強調されていました。

 また、遺伝子組み換え作物に代表される、消費者にとって不安要素が大きい商品よりも、安全・安心を付加する商品が、これからの時代には重要な要素であるということも話されました。

 前川さんが説明したことは横森さんが提唱する技術を応用したものであり、ベンゲットの農民にとって大変有益であると思われます。これを契機にこの地において堆肥や炭・木酢の利用が一層進むことを期待しています。

Copy Right 社団法人国際農業者交流協会