-フィリピン技術協力事業 現地リポート-
No.6:ベンゲット州副知事、町長等が来日
みなさんこんにちは。
奄美地方では大雨の被害を及ぼしている超メガトン級の台風13号が、10月18日(月)にベンゲット州内を通過しました。現地では3日間にわたって強い風が吹き荒れ、2日間停電しました。プロジェクトがイチゴの試験栽培を行っている農家のハウスの鉄骨も損傷を受け、ビニールもはがれてしまいました。幸いイチゴベッドは損害をまぬかれましたが、早急にビニール覆いをかける必要があります。現地からの詳しい状況がわかり次第、改めて報告します。
さて、ベンゲット州の副知事さんと州内の6人の町長さんが、本会の招きで9月20日(月)から26日(日)の一週間日本を訪問しました。
これは「ベンゲット安全野菜栽培技術普及プロジェクト」のパートナーであるベンゲット州と、そのプロジェクトに参加する町自治体の長に、事業の協力者である安全野菜生産グループが長野県南佐久郡で実践している土づくり・安全野菜栽培と、生産された野菜の流通状況を視察して理解してもらい、プロジェクトの成果を現地に定着させるために実施したものです。
日程は次のとおりです。
月日 |
曜日 |
午前 |
午後 |
9月20日 |
月 |
マニラ発 |
成田着、東京へ移動 |
21日 |
火 |
オリエンテーション
JICA本部表敬
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JAECとの協議 |
22日 |
水 |
大田市場視察
フィリピン大使館表敬 |
東京から長野へ移動
(途中で府中のスーパー視察) |
23日 |
木 |
イチゴ栽培農場視察
堆肥生産農場視察 |
研修生の研修農家訪問
研修生・受入農家との懇親会 |
24日 |
金 |
南牧村長表敬
佐久市堆肥製産センター視察 |
佐久穂町長表敬
佐久穂町資源リサイクルシステム学習
研修成果評価会 |
25日 |
土 |
横森農場にて野菜収穫体験生産者野菜出荷センター視察
佐久穂町土づくりセンター視察 |
長野から成田へ移動 |
26日 |
日 |
成田発 |
マニラ着 |
来日した翌日の9月21日にはJICAを表敬後に本会と今後のプロジェクト運営方向などについて懇談しました。
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理事長(中央)の右隣りがパカルソ副知事
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井澤農場で堆肥づくりを視察。左から2番目が井澤亮さん
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23日には、ベンゲットの研修生をお願いしている農家を順次訪問しました。
農家が自ら生産している堆肥施設の視察(菊池千春農場、井澤農場)では、町でコンポストセンターを運営しているラ・トリニダッド町長はじめそれぞれの町長が、熱心に質問していました。また研修生との面談では、実習や生活について詳しく話を聞きました。夏イチゴ栽培ハウス(菊池辰夫農場)は、プロジェクトが取り組んでいる安全イチゴ栽培のモデルになっている施設でもあり、栽培技術、品種などに質問が集中していました。
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中島さんご夫妻(正面)、研修生2人(中島さんの左隣)と懇談
| 菊池(辰)農場でイチゴのハウス栽培を視察。左から2人目が菊池辰夫さん |
23日の夜には、受入農家、研修生と一行あわせて40名の懇親会が催され、地元南牧村の菊池村長も出席されました。村長はフィリピンでのプロジェクトや、当地での研修の意義や効果をよく理解しておられ、この事業が長く続くことを望んでいると挨拶されました。
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横森さんの炭・木酢製造施設視察
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24日午前には、横森さんの炭と木酢製造の炭焼き釜を視察しました。州政府や町の職員にこの施設で炭と木酢製造の研修をさせてほしいという要望が出されました。
このあと、全国で初めて家庭ごみの堆肥化に取り組んだ佐久市の大規模堆肥製造施設を見学しました。また、25日には佐久穂町が運営する堆肥製造施設(土づくりセンター)を視察しました。この施設は約10年前に建設された中規模施設で主に酪農家の牛糞を持ち込んで堆肥づくりを行っています。ラ・トリニダッド町にプロジェクトが建設した堆肥施設は、この施設をモデルにしています。
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佐久穂町役場で、家庭ごみ分別収集システムについて説明を受ける。説明しているのが担当課長
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午後には佐久穂町を訪問し、同町が取り組んでいる家庭ごみの分別収集について詳しい説明を受けました。
一行の中でも特にごみ処理場運営問題で頭を悩ませているラ・トリニダッド町長は、真剣なまなざしで説明に聞き入っていました。
佐久穂町の町長は、帰国したらこの知識を活かして分別収集の強化、家庭ごみコンポスト化事業(現地報告第5号参照)をさらに強化する意向を示しました。
一行はすべての予定を終了して26日朝無事に帰国の途につきました。副知事は、この研修で得たことをもとに現地で安全野菜・イチゴ栽培技術普及に努力したいとの表明し、協会や長野の皆さんに大変お世話になったとのお礼の意を表して帰国されました。
また、今回の長野訪問にはJICA地球広場の担当者にも同行頂き、本プロジェクトの理解を深めて頂きました。
プロジェクト終了まであと1年9カ月を残すのみなので、州政府や町自治体の長が先頭に立って、地元で土づくり・安全野菜栽培技術を、プロジェクト終了後もこの技術普及定着を指導する体制を整備することが必要です。今回の本邦研修が今後のプロジェクトの推進に大きな役割を果たしたことと確信しています。
Copy Right 社団法人国際農業者交流協会
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