こんにちは、川崎です。今ベンゲットに来ています。雨期が終わってさわやかです。11月初めですが、昼間22-23℃、夜が15-17℃。しのぎやすいですね。
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写真1:レタスの収穫(11月7日撮影。右がウェストモア、左が甥のジョナタン) |
今回はパイロット農家の一人であるウェストモアさんの農場を紹介します。ラ・トリニダッド町の中心地から車で20分あまり細い山道を下っていくとビネン集落があり、その中心にウェストモア農場があります。道端に約20アール、これが右左約1.5mの段差のある2枚に分かれています。この地域では平均かやや大きい方です。彼は野菜栽培のほかにバギオの公設市場でトマトの卸売りもやっています。
以前畑ではキュウリを作っていましたが、昨年の秋に病気で全滅。丁度その頃このプロジェクトと出会い相談がありました。横森さんの診断は『連作障害』。早速パイロット農家となり、横森さんの指導の下に畑の土壌改良を始めました。目下今年10月に植え付けたレタスを収穫の最中です。横森さんによれば、土がまだ十分良くなっていないので、出来栄えも今少し良くないそうですが、私の眼にはなかなか良くできています。収穫しているウェストモアや甥のジョナタンもうれしそうですね。(写真1)
彼は今年の9月、協会が実施した1週間の訪日研修(No.19参照)にラ・トリニダッド町長と一緒に参加しました(写真2)。 その研修にヒントを得て帰国後さっそく納屋で堆肥作りを始めたとのことです。11月7日に私たちが視察したところ、なかなかうまくいっているように感じられました。(写真3)
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写真2:長野の横森農場を見学するウェストモア(9月23日、訪日研修の一こま) |
写真3:納屋で試作しているコンポスト(堆肥)。順調に醗酵している(11月7日) |
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写真4:ウェストモア家の台所に設置した木酢採取装置。おそらく世界初(11月2日)。 |
彼は木酢作りにも挑戦しています。横森さんが考案した超小型木酢抽出機を台所のかまどの上に取り付けて、炊事で出てくる煙を冷やして木酢を回収しています。一回の炊事でとれる量は多くありませんが、毎日の積み重ねでとれる量もばかになりません。炊事に薪を燃やすことがほとんどなくなった日本では使えませんが、フィリピンでは今でも応用可能です。家庭の炊事から木酢を採るというこの種の装置は世界最初ではないかと思います。(写真4)
もうひとつ、このプロジェクトでは環境保全型農家を組織して組合を作り、安全でおいしい野菜を販売しようという構想があります。ウェストモアはもう一人のパイロット農家アイサックとともに、組合の指導者になってもらいたいと思います。彼にはその資質・資格は十分ありそうです。
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