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体験談 ~海外農業研修OB・OGからのメッセージ~

平成30年度 アメリカ派遣:古村英之さん平成28年度 スイス派遣:粂咲良さん平成28年度 アメリカ派遣:亀澤 圭さん
平成27年度 オランダ派遣:竹 慎一郎さん平成26年度 アメリカ研修生:猪野 聡子さん平成24年度 アメリカ派遣:松嶺 仁宏さん

俺ら海外さ行ぐだ

「テレビも無エ ラジオも無エ 自動車もそれほど走って無エ」
 という理由で海外に行こう、と思ったわけではなく海外の農業事情を五感で体感したいと思い、また食文化や言語、そこで生きる人々の生活や物事に対する考え方、自然に対する営みなどに惹かれこの研修に参加したいと思いました。しかし応募を試みた矢先、次のことに気づき研修参加を断念しようと考えました。
 「研修参加申込金が払え無エ 研修費も払え無エ 手元に残っているお金なんてほとんど無エ」
大学では奨学金も借りていましたし、月々の家賃や光熱費も払い終わっていない。これ以上親には頼れない…。このまま海外への憧れを捨てるのか…と。
そんな時に知ったのが「農業次世代人材投資資金(旧青年就農給付金)」でした。この交付金は国が次世代の農業を担おうと志向する人に対し、就農前の研修を後押ししてくれる制度です。様々な条件を満たし、農業への希望や自分の目標などを明確にする必要がありますが、条件を満たせば最長2年間、年間150万円の交付を受けることができます。
 私はこの投資資金のおかげで海外農業研修に参加でき、掛け替えのない経験をアメリカですることができました。日本国内外の農業に興味を持ち、将来農業に携わりたいという夢を持っているにも関わらず、金銭的な理由で研修をあきらめるのはもったいないと思います。
今まで出会ったことのない世界へ、未知なる自分を探しに国から研修のサポートをしてもらい海外農業研修に参加しませんか?心に決めたら後は行動に移すだけ。
 俺ら海外さ行ぐだ!よし、行くぞう!

亀澤 圭さん

宮崎県出身
派遣年度:平成28年度
派遣先国:アメリカ
現在香川県の農業法人に就農


アメリカという畑で自分を育てる

海外農業研修を一言で表すなら「自分を育てること」だと思います。
 この研修に参加した理由はシンプルです。私は農業経営者として日本の農業を引っ張りたいという思いがあり、そのためには世界の農業を引っ張る農業大国アメリカへ行き、どのような農業が行われているか知りたいと思いこの研修に参加しました。
 配属された農場はポテトチップス用のイモを生産する農場で、まさに農業大国らしい大規模農業といえるような農場でした。大きな農場だけあって数多くのワーカーの存在に埋もれないように仕事をこなしていくのは大変でしたが、ボスと会ったときに自分の意見やアイデアなどを、自信をもって話すことで次第に認められていきました。
 ある日、ボスとの世間話の中でボスが言ったとても印象に残った言葉があります。「作物を育てるには、良い自然環境と肥料と水がいる。お前にはアメリカという農業を学ぶには最高の自然環境がある。大切なのは、肥料と水を忘れずに自分で自分にあげることだよ。」とボスは僕に言いました。「肥料と水」が理解できない「???」な僕に、ボスは「肥料は経験で、水は自分自身の向上心だよ。肥料がなくても作物は育つけど、水がなかったら肥料も無意味で何もできないからね」というボスの言葉がとても響いたのを覚えています。
つい環境が良い(アメリカに来る)と満足してしまいがちになりますが最も忘れてはいけないのは「向上心」だという事をボスは教えてくれました。この言葉を聞いた瞬間に僕の中で何かが変わり、残りの研修生活を有意義に過ごすことができました。
この言葉は今でも自分の中で生き続け、これから農業をしていく中でも僕の力になってくれると思います。そういう意味ではこのときのボスとの会話が海外農業研修での僕にとっての大きなターニングポイント(収穫)だったと思います。
 このように海外農業研修ではそれぞれの研修生にそれぞれのストーリーが待っています。海外という環境を活かし、自分という作物に肥料と水をあげるのは自分自身です。
海外農業研修を通して多くの人に、まだ見ぬ地で自分自身を育ててほしいと思います。

古村 英之さん

三重県出身
派遣年度:平成30年度
派遣先国:アメリカ
帰国後は父親の経営する農業法人に入社。



これからも世界と繋がる仕事を

大学で畜産を専攻していた私は、幼い頃からヨーロッパの農的暮らしに興味があり、大学四年目を休学してスイスの複合農家での研修を行いました。研修先農場では、粗飼料は全て自給し、生産したジャガイモやニンジンなどの野菜の一部は牛に与え、糞尿は畑に還元する、循環型農業を学びました。
 スイスの女性研修生は、農業だけでなく家事も学べ、スイス料理やパンを毎日のように作りました。農場主の奥さんは、仕事の丁寧さと、常に頭を使い効率よく仕事する事を教え込んでくれました。厳しい中にも家族の優しさがあり、研修先の家族は、新聞を私に見せながらヨーロッパの農業のことやドイツ語を教えてくれました。食卓では毎日のようにジョークを言って笑い合った思い出があります。
 海外の人とお互いの趣味や母国の文化について話すことは私にとってエキサイティングな経験でした。もっと深く世界のことを知りたい、色んな国を見てみたいと強く思いました。
 帰国後は大学に復学し、 今まで以上に真剣に畜産を学びしまた。スイスで農業を学んでいても、日本の農業について私はまだまだ無知だと分かったからです。海外研修後にもまだ大学で学ぶ時間がある事は、とても恵まれた事だと感じました。
 同時に、就職活動では、海外研修の経験で得た事に自信を持って臨むことができ、畜産資材を扱う貿易商社に就職することが出来ました。今後は、日本の酪農家さんが求めるものを海外から輸入し、酪農家さんの経営のサポートをしていきたいと思います。
大学を休学して海外研修に行くことを迷っている方には、是非思い切って海外に飛び込んでみることをお勧めします。帰国後の進路に関わらず、必ず自分の夢の後押しをしてくれるはずです。

粂 咲良さん

愛知県出身
派遣年度:平成28年度
派遣先国:スイス
現在は貿易会社に勤務。



学べることは農業知識・経験だけではない

私がこの研修に参加しようと思ったのは、大学2年になったばかりの春でした。このとき私は将来農業関係の仕事に就きたいという気持ちを抱えながらも何をして良いか分からない状況でした。そのときに見つけたのがこの海外農業研修の募集でした。実家が農家でもなく、農業経験がない私にとっては、またとないチャンスだと思いこの研修プログラムに参加しました。
はじめ、農業経験と外国語力に自信がなく、研修プログラムの一環であるアプレンティッスシップで1年間愛知県のトマト農家で研修後、ヨーロッパ(オランダ)へ渡航しました。渡航して農家へ配属されたあと、私が最初に感じたことは“言葉の壁”です。1年間英語勉強を頑張り、ある程度英語でコミュニケーションがとれるようになっていた私ですが、いざ配属された農場をみてみると同僚の8割がポーランド人でしかもほぼ全員が英語を話せない人達でした。
ボスはオランダ人でしたが、直属の上司はポーランド人で不安を抱えたまま研修がスタートしました。しかし、始まってみると最初宇宙人を相手にしている感覚を持っていた私ですが、会話をしたり一緒に作業したりすると言葉がまともに通じない私にとても良くしてくれ、ボディーランゲージや筆談を駆使して過ごしてきました。休日や休憩中には一緒にスポーツをしたり、お酒を飲んだり、一緒に街へ出掛けたり、数え切れないほどの思い出ができました。

オランダ式の温室栽培もとてつもないものでした。1つの温室が約4haで、作業はほぼ機械を使い、どれだけ低いコストでたくさんのトマトを出荷できるかということをメインに作業を行ってきました。正直、オランダ式農業が日本でできるとは思いません。しかしこの研修で得られたモノは農業知識・経験だけでなく異文化を知るとても大切なことも学ぶことができました。この農業研修が私の将来の役に立つ経験と確信が持てる素晴らしいものでした。

今、振り返るとこの研修は良いことしかありません、ぜひ一人でも多くの若い人が研修に参加して欲しいと思っています。

竹 慎一郎さん

沖縄県出身
派遣年度:平成27年度
派遣先国:オランダ
現在は、大学に復学し学業に勤しんでいる。将来は農業をサポートする側に回って盛り上げたい。



夢の国アメリカで、全てを学んで、先へゆく

アメリカは夢の国という想いを持ち続けて20歳の時にこの研修に参加したのが私です。昔から、この研修を経験した父から毎日、アメリカ生活の武勇伝をきいているうちに、同じ経験をすることが夢になりました。そんな私ですが、現実には農業とは関係のない学校に進み、就職しようとしていました。この時に家族から、「今しかできないことが目の前にあるのなら、飛び込んでみるといい」と背中を押され、夢の国へジャンプしました。

私にとってアメリカはまさに夢の国でした。英語が飛び交う国で、真っすぐに続く道、左ハンドル、ちょっとセクシーな服装、アメリカンコメディドラマでよく見たコンビニなど、日本とは全く違う世界で飽きない毎日でした。
野菜専攻の私が派遣されたのは、ニューヨークの北東にあるメーン州のヤギと野菜の農場でした。野菜の管理やファーマーズマーケットの売り子、ヤギについては、搾乳や出産補助、チーズ作り、そしてピザ作りなど多くのことを体験させていただきました。特にヤギの出産補助は毎日-10~-20℃の世界の中、多くのヤギが次々と子を産んでいくため、温暖育ちの私にとっては、寒い―忙しい―寒いという繰り返しで、忘れられない経験になりました。ここでは、農業のスキル以外に人間関係の構築や営業のことも学ばせてもらい、一段と大きな人間になることができました。

この研修を終えて、自分と同じような立場にいる人のサポートをしたいという気持ちも強く持ちました。現在は、家族や先輩、外国の技能実習生と共に仕事をしながら、実習生のサポートをしています。彼らが不安なく働ける仕事場を作るサポートをしながら、一緒に成長していけたらいいなと思いながら、生活しています。この研修は、技術を学ぶだけではなく、人としても成長できる場なので、多くの方に経験してもらいたいです。

猪野 聡子さん

高知県出身
派遣年度:平成26年度
派遣先国:アメリカ
現在は、実家でニラ・ネギの栽培・加工等全般に携わっている趣味は、祖父母と共に家庭菜園


頭の中で考えていてはもったいないくらいに世界は広い

「自分を成長させてくれたアメリカへ帰りたい!」私の農業研修はこの言葉に集約されます。研修に応募した当時の私は就活を考える大学2年生でした。環境保護をする手段として農業の活性化を志し、見えてきた日本の農業課題。様々な要因がある中で、私が可能性を見出したのは「売る・魅せる農業の確立」でした。生産者と消費者の関係性をコンパクトにし、相互理解や需給のマッチングを行う。そして、「農業をカッコイイ職業に」が私のテーマです。そのためには、自身が生産者の気持ちになり、なおかつ作る~売るまでのプロセスの困難さを学ぶ必要がありました。これらを経験するために私はアメリカへと発ちました。

そこで待っていたのは農業大国を陰で支える厳しい現実。不法労働者、言語・文化の壁、過酷な労働条件。心身ともに限界となる日々の繰り返しが永遠のように感じ、研修はじめは、今まで積み重ねてきた自信も何もかもが通用せず、正直苦しいことの方が多かったけれども、歯を食いしばりながら1年耐えると、私はSupervisorになることができました。ボスからも認められ、研修当初に迷惑をかけてばっかりだったメキシカンからも信頼を得た結果です。
農場を離れる際のみんなの言葉と顔、そして熱いハグは今でも忘れません。現地での大学生活、ホームステイ、最終旅行、研修生同士で夢を語り合った日々、全てが忘れられません。渡米前に思い描いていた研修と現実の世界は全く違いました。頭の中で考えていてはもったいないくらいに世界は広いです。私がここでいくら書いても伝わらないほどのことが世界には待っています。大切なのは「行動」すること。今後は、生産者と消費者を繋ぐ存在になれるよう精進していきます。

松嶺 仁宏さん

専攻業種:野菜
派遣年度:2012年度
派遣先国:アメリカ


(写真後列左端)
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